<南風>「気持ち」


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 小3の頃、クラスの人気者同士が喧嘩(けんか)をして一触即発の時、そばにいた全く関係のない僕が、いきなり1人に殴りかかりました。当然周りから「お前の行動は変だ」と驚かれ、僕自身もそう思っていました。

 でもなぜ僕は殴りかかったのでしょう。大人になってその時の自分の心に素直に向き合ってみると、「クラスの人気者の中に入りたかった」。その表現が間違っていたのでした。僕には僕を動かす「気持ち」があったのです。その「気持ち」を明確にしないと、生き方がズレてくると思います。自分の「気持ち」を知る前は、変な人間。知った後は、正常な人間。認識の違いでこうも変わります。まずは、本当の自分の「気持ち」に気付き大事にした方が良いと思います。
 ただそうは言っても、なかなか難しいことだと思います。特に目上の人に自分の言動を注意された場合、大概の人が、人生経験がある彼らの方が正しいと思うでしょう。でもそんな時こそ、自分の「気持ち」を大事にしてほしいです。
 中1の時、バスケ部のキャプテンでした。初めての試合。メンバーがあまりにも緊張していたので、僕は皆をリラックスさせようと、バスケではありえないクネクネとした間抜けなドリブルをしました。すると顧問の先生が僕のプレーに怒り、その場でキャプテンを降ろされてしまいました。僕はあまりのショックで自分の「気持ち」も把握できず、自分が悪いと思いました。でも僕にはその行動をとる「気持ち」があったのです。先生には、僕の「気持ち」を分かってほしかった。ただ先生も悪い訳ではありません。先生にも「気持ち」があるんで。
 言動の裏には必ず「気持ち」があります。言動だけにとらわれず、その人の「気持ち」を分かろうとすると、心地良い関係が築けると思います。
(内間政成、芸人 スリムクラブ)