<南風>ドローンを操る人


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 近年、ドローンが注目されるようになってきた。ドローンとは小型の無人航空機のことで、カメラマンにとっては空撮が驚くほど身近にできるようになった。特にこの1年、仕事でも十分に使える機種の発売が相次ぎ、私自身もドローン空撮を行うようになった。

 これまでは小型のセスナ機に乗り込んで撮っていたが、飛行する高度がまるで違い、セスナ機やヘリでは近づくことができない距離で、迫った画像が撮れるようになった。鳥の視点でしか見ることができなかった映像が新鮮だ。
 昨年の空撮の仕事では、沖縄科学技術大学院大学(OIST)などでドローンを用いて撮影してきた。観光やスポーツ中継などでもドローンでの映像をよく目にする機会が増えた。
 一方で、安全性が問題視されている。手軽に購入できるようになってきたこともあり、落下事故が増加。中でも、首相官邸へのドローン落下事件はニュースでも大きく取り上げられた。便利さの恩恵もあるが、人間が道具をどう使っていくかで変わってくる。それは車やほかの乗り物でも同様だが、免許制度があるわけではないため、いきなり操るから、事故やトラブルなどリスクも高い。
 操舵(そうだ)ミスによる事故のほか、天候判断を誤っても落下の恐れがある。たとえ晴天でも、風速が7メートル以上あると危険だ。簡単にドローンを購入できても、航空法や操舵技術の知識については誰かが教えてくれるわけではない。
 だが昨年12月、改正航空法が施行され、ドローンなどの飛行が一部規制されるようになった。またドローンは映像の送受信もできるため、航空法の知識だけでなく電波法も守らなければならない。私が教える沖縄写真デザイン工芸学校では、安全に撮影できる技術者を輩出していきたいと思っている。
(桑村ヒロシ、写真家)