<南風>コンプレックス


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 人それぞれコンプレックスがあると思います。僕もあります。「毛深い」と「おでこが広い」。早熟だった僕は、小5の時に下半身に毛が生えてきました。恐らくクラスの中では僕だけで、知られたらどうしようと日々気にしていました。そんな時に訪れた、宿泊研修。皆と一緒にお風呂に入らないといけません。そこで僕は、前日に髭剃(ひげそ)りで剃ってしまいました。そして当日、安心して皆と一緒にお風呂に入ると、ツルツルになりすぎて、逆に目立って恥ずかしい思いをしました。

 他にも僕は、事務で腕に巻く黒い袖カバーのような腕毛が嫌で、脱色していました。そして、広いおでこ。隠すために前髪を垂らし、整髪料で固めていました。しかしある日、皆で記念撮影をして、出来上がった写真にビックリ。僕の前髪はめくれ、広いおでこがあらわに。それどころか見落としていた頭頂部は、はげて穴があいていたのです。急に力が抜けました。あんなに頑張って隠したのに、無駄だったのか。なんだか急に、自分の行動が虚(むな)しく感じました。
 コンプレックスを隠していたのは、それが恥ずかしくかっこ悪いものだと思ったからです。人に嫌われる要素とも思っていました。実際にそう言われたこともないのに。そんな自分を追い込む判断はいかがなものでしょうか。自分を追い込もうが楽にさせようが状態は変わりません。だったら自分を楽にさせてみては。
 どうせ変わらないなら面白おかしく捉えよう。僕の腕毛は、ダンディだ。僕のおでこは、キューティだ。現在の僕は、腕毛もおでこも丸出しです。人に嫌われる要素かは好みの問題で、それが理由で嫌われるとは言えません。その前に人は、意外にあなたに無関心です。
 ただ、状態を変えることも良いと思います。美容整形などでも。それが本人が納得する心地良い判断なら。
(内間政成、芸人 スリムクラブ)