<南風>上原真幸先生に学ぶ


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 1988(昭和63)年、ハートライフ病院で仕事を始める前に10日ほど北京に出掛け、いわゆる超能力者の超常現象を見た。そのことを広島大学の同窓会で紹介したら、真幸クリニックの故上原真幸先生に二次会に誘われた。

 先生は気の医学を実践しておられるユニークな先生だった。ある時病院にふらっと来られ、私の診療を見ておられた。そして一言、「針だけでは治らないよ」と。そこで「では先生の診療を見学させてください」と久茂地のクリニックに押し掛けた。先生は針治療のほか、背骨や骨盤の歪(ひず)みの調整をやっておられた。頸椎(けいつい)や腰椎骨盤の微妙な歪みをレントゲンで確認し整復すると、即座に劇的に症状がとれた。何とかその技術を手に入れ現在にいたるが、それにより意外な病気のからくりが見えてきた。
 現代生活はストレスと過労に満ち、不安・不眠、肩こり、目まい、吐き気などの症状を訴える人が多い。そのような人の頸椎をレントゲンで見ると正面では左右いずれかにねじれている。また側面から見ると前方に凸の自然のカーブが失われ、いわゆるストレートネック、さらには後方にカーブする変化を起こしている。その結果、首を上にそれない、左右にねじれないなど、可動域の微妙な制限が起こっていることが分かる。「金に困って、首が回らない」という俗言が医学的に正しいと確認できた。
 真幸先生に病院の理念について意見を伺った時に「ヒポクラテスの言葉」を紹介された。その一つに「心に起こったことは必ず体に影響を及ぼす」とあった。ストレスや過労は骨格の歪みを引き起こす、つまり心の変化が体に影響を及ぼすからくりを示していると考えた。漢方薬が効く時、不定愁訴の頭痛や肩こりなども一緒にとれることから、漢方薬にも同様の効果があるように思う。
(仲原靖夫、仲原漢方クリニック院長)