<南風>新入社員を迎える


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 留学生から就職相談を受けました。東京の上場会社に内々定し、最終面接の文章を見てほしいと。明るく大らかな好青年で、これなら東京でも大丈夫と頼もしく感じましたが、文章を見て、失笑してしまいました。

 「私は中国から留学しています。高校の成績はトップでしたが、失恋をしてから成績が下がり、レベルの低い大学に入学しました。両親は一人息子の私に大きな期待をかけて日本に送り出してくれました。日本では言葉に苦労し、いじめられましたが、笑顔で乗り切りました。今は何もできませんが、頑張りますのでよろしくお願いします」
 彼曰(いわ)く、「日本では、威張った表現ではなく、控え目に伝えるのが良いと言われました」。私は、「失恋して成績が下がった」「レベルの低い大学に入学」「いじめられました」「今は何もできません」を削除して、別の言葉にするようアドバイスしました。
 彼は日本で生活して2年。友人も増えましたが、日本語の細かい言い回しは難しいようです。「特に公式の場では、自己アピールと謙虚さのバランスがわかりません。丁寧すぎても不足しても怖いです」。日本に溶け込もうとする彼の努力は評価できますし、少々表現が未熟でも周りは「外国人だから」と大目に見るでしょう。
 さて、「今どきの若者」といわれる新入社員も、「外国人」と同じかもしれません。先輩社員には、言葉遣いの未熟さや、社会常識が身についていないことなどが目につくもの。新人の側でも「何でも質問して」と言われても、何が分からないのか分からない状況のようです。
 「今どきの若者は、ゆとり世代、さとり世代だから」と決めつけず、「外国人だな」と思うなら、一層育てがいがあるのではないでしょうか。成長に期待して笑顔で見守りたいものです。
(青山喜佐子、オフィスあるふぁ代表)