<南風>食材の持つ力


社会
<南風>食材の持つ力
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 今回は漢方薬でも使われる中薬(生薬)を紹介する。食べ物は薬という考え方があるが、実際に漢方薬の中に組み合わせる実際のお薬のことを書きたい。食材は加工の方法により薬になるのか? 食材になるのか? に分かれてくる。

 今が時期である桑の実は普段、熟した物を口にすることが多いと思うが、成熟の状態で乾燥させる。そうすると桑椹(そうじん)という中薬になる。効能はめまい・耳鳴り・若白髪・便秘などの症状だ。

 桑葉(そうよう)は桑の葉のことで、赤目・喉の炎症のある風邪・頭痛などに効く。冬瓜皮(とうがひ)は冬瓜の皮。むくみ・利尿作用にいい。冬瓜仁(とうがんにん)は痰の切れを良くする。しからく・へちまは、血流が良くなる・母乳の出を良くする。玉米髭(ぎょくべいしゅ)はトウモロコシのひげのことで、むくみ・利尿作用に良い。艾葉(がいよう)はヨモギのことで、月経痛・不正出血・月経過多に効く。

 蒲公英(ほこうえい)はタンポポの全草で皮膚化膿(かのう)・乳腺炎などに効く。防風(ぼうふう)はサクナの根のことで、寒気のある風邪・関節痛などにいい。桑枝(そうし)は桑の枝のことで関節痛・ひきつり・むくみなどに効く。薤白(がいはく)はらっきょうで胸や肩の張りなどに効く。小麦(しょうばく)は精神不安などにいい。枇杷葉(びわよう)ビワの葉でせき・呼吸困難・嘔吐(おうと)などに効く。山薬(さんやく)は山芋のことで疲労倦怠(けんたい)感・食欲不振などの治療に使われる。

 風通しの良い所で乾燥させたりと加工したりすることで普段食べている食材が立派な薬になる。食材には身体を元気にする、身体を治療する力を持っている。普段食する食材にこだわりを持ち、できるだけ地元の食材で好き嫌いせずにいろいろな食材を摂取すれば、心も体も元気になる。

(宮國由紀江、国際中医師)