伊平屋の中3全員に著書を贈呈 「ウミンチュの娘」著者の今井さんがエール 沖縄


伊平屋の中3全員に著書を贈呈 「ウミンチュの娘」著者の今井さんがエール 沖縄 経験談を交えて講話し、高校進学で親元を離れる中学3年生にエールを送る今井恒子さん=伊平屋中学校(提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

【伊平屋】一般社団法人おきなわ離島応援団の理事長で、著書「ウミンチュの娘」(2012年出版)の著者、今井恒子さんがこのほど、伊平屋村立伊平屋中学校(大田守利校長)を訪れた。伊平屋中学校、同村立野甫中学校(玉寄兼明校長)の3年生全員と両校の図書室などに同著書の日本語版と英語版を贈呈した。贈呈後の講演会で今井さんは「自分の可能性にふたをしないで。頑張ったら応援してくれる人が現れる」などと高校進学で親元を離れる3年生にエールを送った。

 今井さんは、石垣島出身で八重山高校卒業。2001年にIT企業のFLOSSA(フロッサ、本社・埼玉県)を設立した。同社の代表取締役を務めるほか、関東沖縄IT協議会の会長なども務める。2009年1月から6月まで本紙コラム「南風」を執筆。本を執筆する契機になったという。

 講演会で今井さんは、自身が中学生の時に、ウミンチュ(漁師)だった父が復帰前に社会問題化していた「ダイナマイト漁」で逮捕されたことをきっかけに本を出版したいという夢を持ったと話し、「約40年後に本を出版することができた。諦めずに夢を持ち続けることが大切」と講話した。

 今井さんは入社した会社が2社続けて倒産した実体験を語り、「その時は不幸だと思ったが、その経験があったからこそ今がある。つらいことがあっても乗り越えることが大事だ」と話した。「親元を離れて生活した時にホームシックになったが、自分で自分を励まして乗り越えた。会社設立時には多くの人に支えてもらった。人との出会いが大切だ」とメッセージを伝えた。

 講話を聞いた生徒は「会社が倒産しても挑戦するという話を聞いて勇気をもらった。自分も頑張ろうと思った」と感想を述べた。 

(中川廣江通信員)