<南風>子どもの権利を守る


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 にぎやかに夕食を取る子どもたちの声が食堂内に響く。最近は誰もが気軽に入れる居場所になって来た事をとてもうれしく思う。しかし、まだ届いていない子どもがいる。私は公園で遊んでいる地域の子どもたち一人一人に声をかけるようにしている。その子どもたちが何を思い悩んでいるのか少しずつ寄り添っていきたいと思っている。

 子どもたちを取り巻く環境が依然として厳しい中、地域の子どもたちの健やかな成長を支援する「子ども食堂」の活動が広がっている。地域の子どもたちを地域で見守り育てるため、地域住民の協力を得て運営されている。子どもたちの生きる権利や育つ権利を守るため、地域と学校、家庭と地域が連携して子どもたちとどう関わり、どう支援していくのかこれからの取り組みを考えてみたい。
 沖縄の子育て事情は厳しい状態にある。高い失業率、所得水準の低さ、離婚率の高さによる母子家庭の増加、米軍基地の集中による事故の多発など子どもたちを取り巻く現状は厳しい。沖縄には地域を基盤としたコミュニティーの力で子育てを支えてきた歴史がある。その沖縄の文化的土壌の中で昔から大切にされてきた「ゆいまーる」という言葉がある。
 沖縄の地域での子育てや発達支援は親戚、近隣住民、友人など地域のさまざまな人々に囲まれ、手を取り助け合うとともに、生きていこうとする人と人とのつながりの精神、「ゆいまーる」に支えられている。
 地域の大人がみんなで地域の子どもを育て、また子どもたちとの関わりが地域の大人たちに元気を与え、みんなが一つになって共に生きる幸せの形を作っていきたい。子どもたちに発達的な遅れがあろうが、なかろうが、学校や地域社会が子どもたちを平等に受け入れ、一人一人の子どもが輝く未来を届けたいと願う。
(比嘉道子、NPO法人ももやま子ども食堂理事長)