<南風>幅広い世代関わる取り組みを


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 土曜日の夕方、「今日のご飯なんねー」。ももやま子ども食堂に子どもたちがやって来た。地域の小学生5~6人は、すっかり顔なじみである。この日のメニューは新鮮なサラダとアーサのみそ汁、地域の人が提供してくれた里芋のコロッケやお焼き。婦人会ボランティアの協力で珍味が並んだ。

 「いただきまーす」。大皿に盛られた料理を奪い合うように食べる子どもたち。「ちょー、おなかいっぱい」。満足げな声を上げ、大きな笑い声が食堂内に響く。
 「仕事で疲れ、子どもたちを放ったまま寝過ごしてしまう、学校に行かすこともできない時もある。頑張って子どもの食事を作りたいと思っているが、なかなかできない」と母親は言う。
 不登校の状況にある子どもたちは、家庭環境にも問題があり、友達づくりに悩んだり、学習などでつまずいたりとさまざまな悩みを抱えている。日常生活の中で、表現力や社会性を学ぶ機会が少ないことにもつながる。これまでの学童や学校、地域で取り組んできた経験を生かし、まずは気軽に集える居場所として子ども食堂を開所した。
 体験を取り入れた地域ぐるみの活動づくりに取り組みたいと思う。何かの出来事で学校に行けなくなった子どもたちはどうすればよいのか分からず悩み、保護者もとても苦しんでいる。
 私たち支援員や地域の大人は、子どものペースに合わせた無理のない支援を軸に、公民館を利用した高齢者や子どもたちの集える居場所や子育て中の父母の交流の場を作るなど、不登校の子どもたちと幅広い世代の方が関わる取り組みを行うことが大切だと思う。
 今後は、子ども食堂に行くことができない子たちに、弁当を配食していきたいと考えている。少しずつ学校に行けるように支援していくため、地域、学校が取り組む不登校児童の登校支援にもつなげていきたい。
(比嘉道子、NPO法人ももやま子ども食堂前理事長)