<南風>第2の地球を探そう


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 天文学で近年最もホットな分野は、系外惑星でしょう。系外惑星とは太陽系の外にある惑星、つまり太陽以外の星を回る惑星のことです。私が大学生の頃はSF映画や小説の話題だったのが、今や現実にサイエンスとして確立しています。

 すばる望遠鏡は2009年、太陽によく似た星を回る惑星候補を二つ、世界に先駆けて発見しました。重さが木星の約10倍と推定されます。この発見以来、すばる望遠鏡は続々と系外惑星を見つけています。
 現在知られている惑星は2千以上もあります。その中には、ひょっとしたら生命体が存在する惑星もあるかもしれません。星に近すぎず、遠すぎず、液体の水が存在できる領域を「生命居住可能領域(ハビタブルゾーン)」と呼んでいますが、この領域にある惑星候補が33個見つかっています。そう。もしかしたら地球によく似た惑星があるかもしれないのです。
 「第2の地球を探そう!」をスローガンに、世界中の天文学者が昼夜研究・観測に明け暮れています。研究や探査は、もはや天文学者だけが行うものではなく、一般市民にも協力をお願いしています。市民参加型のシティズン・サイエンス。科学の新しい形です。
 すばる望遠鏡の天文学者、オリビエ・グィヨン博士が数年前始めたパノプテス。小型のロボット望遠鏡を何百台も作り、世界中で夜空を観測し系外惑星を探す壮大な企画です。昨年夏、ハワイ島の高校生と一緒に作り上げたロボット望遠鏡は、地元の科学教育施設イミロア天文学センターに寄贈されました。二つのカメラレンズが目のように見えて、ピクサー映画のロボット、ウォーリーのようです。
 ゆくゆくは故郷沖縄でウォーリーを作り、中学生や高校生に系外惑星を探してもらえたらいいな、と思います。皆さん、第2の地球を探してみませんか?
(嘉数悠子、国立天文台ハワイ観測所アウトリーチ・スペシャリスト)