<南風>恥ずかしいこと


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 職業柄、よく写真の撮影をお願いされます。礼儀正しい方が大半ですが、そうでない方がいらっしゃいます。その方はいきなり「あい!写真撮ろう」。初対面ではあまり気持ちの良いものではありません。正直、失礼だと思います。お願いする側が上の立場になること自体、変だと思います。

 最近、その方を上回る方が現れました。食事中の僕の側に来て「内間さん、自然な感じで隠し撮りしてもいいですか」と言ったのです。パニックになりました。今までそんな声のかけられ方はなかったからです。「隠し撮りは嫌です。普通に撮りませんか」と答えると、「恥ずかしいので、やめておきます」と言ったのです。
 理解不能で呆然(ぼうぜん)としました。なぜそんなことを言うのだろうか。その方は恥ずかしいこと、恐らく、人にストレートにお願いする行為が嫌なのでしょう。僕も以前は恥ずかしいと思っていました。私が抱く、人に頼らず、堂々としている立派な大人像に反する行為はしたくありません。恥ずかしいと思っていても、別の「相手に求める欲求」が生まれた時が大変です。恥ずかしい行為をごまかしながら、もう一つの欲求も満たそうとするから、相手の気持ちを無視した横柄な態度になると思います。
 行動の元になる理想像は、幼い頃の教育の影響だと思います。教育者は本気で子どものことを考えてほしいです。大人になってからの再教育も可能で、取り返しはつきます。だから、今の自分の思考をチェックして、何が恥ずかしいのか。本当に恥ずかしいことなのか。それを踏まえて、自分で自分を教育するのも一つの手だと思います。
 今の僕は、人にストレートにお願いすることを恥ずかしいとは思いません。本日挙げたお二方に、今度はストレートに「写真を撮ってくれませんか」と言ってほしいです。お願いします。
(内間政成、芸人 スリムクラブ)