<南風>リレーで世界記録挑戦


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 2013年、世界マスターズ陸上大会が終わり、次の夢、目標を設定することにした。それは王者米国が樹立している40歳以上4×100メートルリレーでの世界記録42秒20への挑戦だった。そして、そのリレーメンバーを選出、世界マスターズ陸上にて200メートルで銅メダルを獲得した百獣の王、武井壮選手(東京)、40歳で自己記録11秒14を樹立した石黒文康選手(愛知)、10秒台スプリンターの渡辺潤一選手(埼玉)の4人で挑戦する事になった。

 〈世界記録保持者〉人生でその称号を手にできる人ってどれくらいいるのだろうか?〈可能性があるならまずはやってみよう〉僕らはその想像つかない称号をつかむために挑戦することとなった。そして2014年6月、沖縄マスターズ陸上大会でそれが実現した。
 大会当日なんと浦添市陸上競技場はスタンドを埋め尽くす6500人の大観衆! そしてその結果は…。42秒25! なんと世界記録に0・05秒届かず、惜しくも世界記録には届かなかった。悔しい気持ちよりこのメンバーだったら絶対に世界記録を出せる確信もあった。
 そして10月、大阪マスターズ陸上で再び世界記録に挑戦した。結果は42秒30! 0・1秒足りずまたしても世界記録は樹立できなかった。悔しい気持ちの中、その夜、リレーメンバーで集まってミーティングをした。みんなで考えた結果、僕らは夢の方向を変えた。
 〈世界マスターズ陸上、リレーで世界一になる!〉
 夢は行動する中で変わっていい。世界記録挑戦は失敗したけど、失敗という経験のおかげで僕らはさらに大きな夢へと目標をシフトチェンジさせていった。メンバーも志を一つにして素晴らしいチームへ成長していった。そして2015年8月、晴天のフランスの競技場にて、世界マスターズ陸上4×100メートル決勝、夢舞台に僕らは立っていた。
(譜久里武、アスリート工房代表)