<南風>学びの広場で見る夢は


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 約1年の改修工事を終えて、琉大附属図書館が改装オープンした。工事の間は利用者のために別館でもあれば良かったのだろうが、不十分な予算ではそれも叶わず、職員もいろいろと対応に苦慮されたと思う。

 新しい図書館の正面には花ブロックがあしらわれ、外観の変化も目を引くが、館内の変化にも驚いた。今どきの事情に合わせてパソコン用電源が増設されたのに加え、以前は重厚な木のテーブルと椅子が置かれ、学生が静かに勉強していた(あるいはよだれを垂らして寝ていた)場所が、ポップでモダンな「ラーニングコモンズ」というITと協働学習のスペースになった。「静粛」を絵に描いたような図書館だが、そこに限っては、友人たちと会話することが許される。
 図書館にこんな空間が設けられたのは、昨今の授業形態の変化も影響している。以前は授業の成績の大部分がレポートなど個人型の課題の出来栄えで決まっていたが、最近はグループでの発表なども評価される。仲間で役割を分担し、協力して一つの課題を仕上げるのだ。実際、社会に出たら、知識や技能、視点の異なる人々と協働する場面が多いはずなので、協働学習はダイバーシティー(多様性)への理解と実践力を育む場となる。ラーニングコモンズが世界中の大学図書館に普及したのも、「学びは競争ではなく協働」という理解が広まったからだろう。
 ちなみに米国では、「館内では飲食禁止」というわれわれの常識を覆すように、図書館内にカフェのある大学も多い。開館時間も長く、試験期間中は24時間開くところもある。私も留学中は1日の大半を図書館で過ごした。不眠不休でも追いつかない分厚い英語の本を枕に、よだれを垂らして寝ていた日々。琉大のラーニングコモンズでは、夢を見るより夢を語る学生の姿を見たいものである。
(喜納育江、琉球大学ジェンダー協働推進室長)