<南風>答えは自分の中にある


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 沖縄に移住したきっかけの一つに、琉球音楽との出会いがある。初めて耳にしたとき、魂が揺さぶられるような音楽だと感じた。また、音楽好きが高じて自分でも演奏してみたくなり、内地で三線サークルに参加したり、奄美シマ唄の唄者に弟子入りもした。

 そのうち、それだけでは物足りなくなり、ついには本場沖縄へ移住するに至った。三線が沖縄にご縁を導いてくれたともいえる。
 ところが数年もたつと、沖縄での仕事の方が忙しく、またやりがいもあって没頭、民謡研究所の稽古にも通えなくなる日々が続き、いったん休止することになった。三線に触れる機会もなくなっていった。
 しばらく時が過ぎ、ある方と音楽ライブを鑑賞する機会があった。にぎやかな演奏を聴いている最中に、その方が唐突に「三線はどうした?」と問うてきた。その方はいわゆる“サーダカー”、視(み)える人だ。私がかつて三線をやっていたことなど知るはずもなかったのに、何でもお見通しかのように話し掛けてきたことに大変驚いた。
 なぜそのようなことを聞いてくるのかと尋ねると、「私だって分からない。『そう問え』という声が聞こえてくるから。だけど、答えはあなた自身が知っているでしょう?」と返された。私は、異次元のものが視えたり聞こえたりする訳ではないので、代わりにその方が、“聞こえてきたメッセージをそのまま伝えてくれた”のだった。
 三線については半分あきらめたようなものなのに、なぜ、もう一度振り向かせようとするのか。
 そのときは理由が分からなかったが、それから間もなく、その答えに自ら気付く出来事が起きた。ごく個人的なことなので詳細は控えるが、「答えは、いつだって自分の中にある」ということを知る、気付きとなったことに感謝したい。
(桑村ヒロシ、写真家)