<南風>森の工作室


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 私は昔から、環境や場に流されがちである。ラジオを流しながら勉強する人がいるが、私にはできない。高校の頃、試験勉強をみんなでファストフード店などでやったが、ほとんど頭に入らないから遊んでいるのと同じだった。浪人して勉強だけの状況になった時に自分の弱さに気付いた。そういう弱さを自覚した後、大学では本当に自分の好きな「美術」に没頭した。

 そうしたら大学の授業が楽しくて、美術に関係なくても、潜り込んで授業を聞いたり、勉強が本当に楽しかった。「環境」と「好き」という自分の気持ちだけで、物事への取り組み方が変わるのだと学んだ。
 仕事上、授業のための試作や、畑のワークショップの道具など何かと家でものを作っていることが多い。その周りで娘たちが遊んでいるのだが、気付いたらこちらが仕掛けたわけではないのに、一緒に絵を描いたり、折り紙や紐(ひも)を工夫しておままごとで使うアクセサリーや小物を作っていることに気付いた。
 私が提案したものを一緒にやろうと誘ったこともあるが、意図的に誘導してやらせようとしても、本人たちが乗り気にならないと全く続かない。つまり、情操に良いとか発達に良いみたいな大人の意図があったとしても、彼女たちの琴線に触れなければやってくれないのだ。
 そこで、最近考えているのは、子どもと一緒にものづくりをする場をつくりたいと思っている。工作的なことも気軽に楽しめる教室だ。工作室の場の雰囲気も重要なので、場づくりの強力な助っ人として娘たちも教室に参加予定。今の子どもたちの遊びは、育成ゲームやマインクラフト、ものづくりではあってもバーチャルなものばかりなので、実際にものに触れて作る機会が大切だと思っている。名前は「森の工作室」。一緒に工作を楽しみませんか。
(玉城真 うえのいだ主宰、珊瑚舎スコーレ美術講師)