<南風>働きながらの子育て


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 最近は、配食予定の土曜日の朝、地域の人から新鮮な野菜が届く。子どもたちにお弁当を届ける試みへの地域の方々の協力には、感謝に堪えない。家庭菜園で作られたプチトマト、無農薬野菜にはあお虫やカタツムリがついている。

 子どもたちと小さな虫の生きる力の話をしながら一緒に料理をする。サラダ菜とキュウリ、オクラのあえ物、子どもたちが大好きなニンジンシリシリーや卵焼き、素朴なお弁当である。前回公園で出会った少年R君に届けることができ、嬉(うれ)しそうに食べてくれた。母親とお弁当の話をしながら、育児で困っているとの話ができた。母親も安堵(あんど)した様子が見られ、少しずつ支援していく相談をした。

 働きながらの子育てに関し、地域や社会に求められる福祉的支援を考えた。放課後、児童クラブを利用する家庭もいろいろなケースがある。社会にはいまだひとり親の母子家庭、父子家庭に対する偏見や差別がある。保護者の働き方を支援し見守る必要がある。

 これから、子どもたちが楽しみにしている夏休みがやってくる。長い夏休みは子どもの居場所や食事に悩む保護者も多い。学校給食のない夏休みをどう過ごすのか、大きな問題である。

 今、家庭・地域と連携し、PTAや民生委員の協力の下、公民館や学校で「子ども食堂」を開けないか検討中である。「コミュニティースクール」の活動に取り組んでいきたい。子どもたちの安定した生活環境の確保など社会的養護の取り組みとして、地域に根差した子ども中心の「居場所」を造っていくことが大人の責任だと思っている。

 放課後児童クラブの活動としても行政、保護者、地域の方々の意見を聞き、子どもたちのために何が大切かを考え活動したいと思う。南風の執筆は最終回。励ましのご意見やお言葉などに心より感謝いたします。
(比嘉道子、NPO法人ももやま子ども食堂前理事長)