<南風>心地よく生きるには


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 「人前で話すとき、あがってしまう」「こんなことを言って笑われないか」と、気にしたことはないだろうか。それはコミュニケーションの問題である。コミュニケーションの問題は多様だ。

 「上司とうまくいかない」「お客さんのクレームにどう対応すればいいか分からない」などの人とうまく関われない悩み。さらに、「声が小さい」「発音がはっきりしない」「言いたいことがうまくまとまらない」といった話し方の技術も、他者とのやり取りに影響するのでコミュニケーションの問題と言える。悩みの原因を探り、問題を解決していくのが、コミュニケーションカウンセラーの仕事だ。

 人前であがってしまい上手に話せないという悩みを持つ人は、「自分の話が下手だからだ」とか「自分に話すスキルがないからだ」と話し方に原因があると考えてしまうことが多い。しかし、「あがる」原因は話し方が下手だからではない。

 多くは物事の受け止め方に直接の原因がある。その原因を取り除きながら、あがらない話し方を身に付けていく。あがらない話し方とは、流暢(りゅうちょう)に話すことでもきれいな声を出すことでもない。相手が聞きやすい声、スピード、間、発音で話せることである。

 上司とうまくいかないという悩みについても、うまくいかないと感じている問題の根本はどこにあるのか。冷静に分析する必要がある。上司との間に生まれる不安感や嫌悪感といった感情にとらわれると、人格や性格の問題と考えてしまい解決できない問題となってしまう。

 コミュニケーションの良しあしは、仕事や生活の質に影響する。だからこそ私たちはコミュニケーション能力を高めて良好な人間関係を築きたいと願うのだ。どうすればお互いが心地よく生きていけるのか。コラムを通して私自身も考えを深めてみたいと思う。
(吉田文子、シニアコミュニケーションカウンセラー)