<南風>「全島エイサー」の感動を海外へ


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 「沖縄全島エイサーまつりをインターネットを使って全世界に生中継できないかな?」。沖縄市の文化観光課に勤めている大学時代の友人からの相談が縁で、5年前から沖縄全島エイサーまつりをインターネットを通して生放送することを手伝っている。

 当初2千人程度だった視聴者も、昨年は全世界61カ国1万7千人に視聴いただくまでになった。この仕事に関わる以前は、正直エイサーは縁遠いものだった。
 私は、名護市為又(びいまた)に生まれ育った。今の発展した為又とはほど遠い、山の中の部落だった。エイサーは運動会の出し物としてやった程度で、青年会活動などは未経験。ある意味本物のエイサーは見たことがなかった。しかし、初めて沖縄市で青年会エイサーを見た時、鳥肌が立った。
 2012年、第57回沖縄全島エイサーまつりで、我が地元、名護市為又青年会が出場した。思わず、その時は放送室を出て、演舞場所に見に行った。弟の代の後輩たちが、青年会活動を興し、エイサーを始めた、ということは聞いていたが、見るのは初めてだった。
 出演している若者に、知っている顔はなかったが、地元為又の青年たちが、堂々と演舞する姿に、誇らしく思い、勇気をもらった。涙が出てきた。
 インターネット配信の視聴者数ランキングは、アメリカ(ハワイ州)、ペルー、ブラジル、アルゼンチンと沖縄移民の多い国が上位を占める。ペルーから「県人会で集まって、見ています」という書き込みも頂いた。若い3・4世がパソコンをセットして、1・2世の方々が喜んで見ている姿が思い浮かんだ。
 今年も8月26~28日に沖縄全島エイサーまつりが開催される。インターネットを通して、県外、海外で頑張っているうちなーんちゅに、誇りと勇気と感動を届けたい。
(寺田克彦、テラ・ウェブクリエイト社長)