<南風>県産品愛用の経済効果


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 7月は県産品奨励月間である。今年の標語は「じょうとーむん 使うよろこび 県産品」。1日の国際通りのパレードを皮切りに、物産と観光展、各種県産品の販促フェア、学校給食展、140カ所余への要請活動など、実行委員19団体が各地でさまざまな事業を展開する。中でも、親子で参加する「ふるさと企業訪問」は、時にキャンセル待ちが出るほどの人気事業だ。

 県産品奨励運動は昭和29(1954)年から始まった「島産品愛用運動」にルーツを置く。戦後復興途上の沖縄、貿易自由化が始まると本土から大量の物資が輸入され、操業間もない県内の生産業はたちまち窮地に陥る。琉球政府は急きょ、産業振興計画を策定して生産企業の保護と育成に乗り出し、官民一体となって島産品愛用運動を全県域で展開した。それ以来、運動は継続され、本土復帰時に「県産品奨励運動」と改称し、今日に至るまで、実に60年以上も続く息の長い産業啓発イベントになった。
 ところで、県産品は県内でどれだけ使われているか、関心はおありだろうか。県産品自給率というデータがある。直近の調査では32・6%になっている。この自給率を3%伸ばしたら、どれくらいの経済効果があるか、専門の調査機関に分析を依頼した。生産誘発額で456億円、雇用誘発数で4800人という数字が出た。これは、100人を雇用する企業50社を創るのに匹敵する。実に大きな経済効果と言える。
 今、これだけの規模の企業設立は不可能に近い。しかし、県民が高い意識を持って県産品を使用すれば、自給率3%アップは十分に達成可能な範囲である。運動を粘り強く続ける理由はここにある。県産品愛用は地場産業と地域の発展に大きく寄与し、自立経済の確立に最も現実的で有効な手段であることをあらためて強調したい。
(桑江修、沖縄県工業連合会専務理事)