<南風>体を動かす幸せ


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 好きなことはと聞かれれば、「体を動かすこと」と答えることが多くなった。小中高校時代の私が聞いたらびっくりするに違いない。

 走っても、ボールを投げても、泳いでも、まるで駄目。スポーツテストのボール投げで、平均以下しか飛ばなくて、先生に「ふざけてるの」と怒られた。いいえ、先生。私の最大限の距離です。とは言い返せず、ひたすら悔し涙をこらえていた。
 そんな私が体を動かすことが好きになったのは、ベリーダンスがきっかけだ。20代からレッスンに通い始めて、もう10年以上踊り続けている。当初は教室でついていけなかった私。でも、講師の励ましで頑張れた。「初めはみんなできないよ。自分のペースで体を動かしていけばいい」この言葉に救われた。そうか、自分のできる範囲でいいのか。そう思うとホッとして、踊ることが楽しくて、家でも練習をするように。しばらくすると脳からの指令に応えて体の動きがスムーズになってきた。
 踊れるようになったうれしさから、ズンバやヨガなどフィットネスも始めた。インストラクターの動きに合わせて手足を揺らし、右に左にステップを踏んでいると楽しさから笑顔になる。周りのみんなも楽しそう。幸せオーラが満ちているスタジオで体を動かすのは、至福の時間だ。運動のメリットは大きいと思う。気持ちが明るくなって、不思議と仕事のアイデアも湧いてくる。
 かつて健康長寿県とうたわれた沖縄は、食生活の変化や車社会に頼る運動不足が原因で、体重が増加する人が増えている。健康体を維持するには、栄養バランスのとれた食事を心掛けると同時に、適度な運動も必要だ。「動くのはキツイ」と思っているあなた。体を動かすのは気持ちいいですよ。まずは気になる運動から始めてみては。知らないあなたが目覚めるかも。
(金城奈々絵、ラジオ沖縄アナウンサー)