<南風>ルーツ


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 私は、初めて会う人に、決まって「出身はどちらですか?」と尋ねられます。
 私の名前と顔立ちから、ウチナーンチュだとは思われていないようで、「沖縄です。那覇です」と答えると、相手は納得いかない顔になります。

 私の両親は旧玉城村出身で、父方の門中では、戦後、「川崎」という名字に改正したそうです。それは、その昔、大阪は堺の商人「川崎利兵衛」と言う人の血が入ってきたという、言い伝えがあるからだそうですが、大半は元の名字に戻したそうです。
 ここで、私の仕事の話に戻したいと思います。
 私が演奏したり、指導する楽器は、主にチェロなのですが、これはヴァイオリン属の中で一番大きな楽器です。
 そのヴァイオリン属は、400年ほど前にヨーロッパで誕生しました。それ以前はヴィオール属でしたが、ヴァイオリン属が出てくると、すたれてしまいました。ヴィオール属の血を引いているのがコントラバスです。
 どちらも弓を使って演奏します。それがオーケストラの発展に伴って、世界中に広がっています。
 弓で擦って音を出す弦楽器は「擦(さつ)弦楽器」と言い、ギターのように弾いて音を出す弦楽器を「撥(はつ)弦楽器」と言います。
 その「擦弦楽器」は西洋だけにあるのではなく、東洋にもあります。
 沖縄だと、クーチョウー、日本には胡弓、中国だと二胡など、国や民族が違うと形や名称など、さまざまです。
 それは、ある特定の地域や民族、民族音楽の中で使われているので、「民族楽器」と言われています。
 その元となる楽器は、中東のペルシャ付近で作られ、シルクロードを通り、東西へ伝わって、現在に至っています。
(川崎達、沖縄弦楽指導者協会会長)