<南風>社交的でよく話す人の落とし穴


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 コミュニケーションがうまいと思っている人の中にも、実はコミュニケーションに問題のある人がいる。社交的でよく話す人だ。人との会話が苦手な人から見れば、うらやましいはずだ。

 どこに問題があるのか。社交的でおしゃべりな人は、思いつくまま話すタイプが多い。自分が話したことを相手がどう受け止めるだろうかとあまり考えずに話す。例えば、「◯◯さんは、いつも明るくて楽しそうね。どちらかと言うと細かいことは気にしない方よね」と言う。本人は褒め言葉のつもりで言ったのかもしれないが、相手は「えっ、私だって細かいことを気にすることあるけど」と思うかもしれない。

 相手の気持ちを慮(おもんぱか)ることをしない話の進め方は自分本位と思われる。人は、決め付けでものを言われたり、相手にコントロールされたりしていると感じると不愉快になるものだ。

 社交的でよく話す人は、人の話を聞いているうちに、つい話を奪っていることがある。例えば、こんな風に。「この間、ネット見ていたらさ」「あ、知っている!◯◯のことでしょう。◯◯って…」「仕事で大きなミスをしてしまったよ」「それは大変だったね。自分も同じ経験したことあるよ。あの時はさ…」という具合に自分の話にすり替えてしまう。

 相手は、まだ話したいことがあるかもしれないのに、最後まで話を聞けない。相手の話をきっかけに、自分が体験したことや知っている知識をついしゃべってしまい、相手の話を奪ってしまうことになる。

 社交的でよく話す人は、率先して話を盛り上げたり進めたりすることに重きを置いているので、問題に気が付きにくいことがある。社交的なことを生かすには、双方向のやり取りであることを意識して、自分のコミュニケーションを見直してみてはどうだろうか。
(吉田文子、シニアコミュニケーションカウンセラー)