<南風>クラウドのパワーで元気に


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 「クラウドって、パンケーキか何かじゃないの」。2010年、わが社は企業向けクラウドシステムの導入支援、構築サービスを始めた。この新しいコンピューターの概念を、とにかく多くの沖縄の企業に知ってもらおうと、営業もろくにやったことのない私が、勢いだけで飛び込み営業をやった。

 マッチ売りの少女のごとく、「クラウドはいかがですか? 説明させてください。社長さんか、営業部長さん、お手すきではないですか」と。アポなしの飛び込み営業、ほとんど、けんもほろろに断られた。そんな中、やっとお会いできた社長さんに言われたのが冒頭の言葉である。時期も悪かった(ちょうど11月末。クリスマスケーキの注文時期だった)。まだクラウドという言葉自体、その程度の認知度でもあった。
 アメリカ国立標準技術研究所のクラウドコンピューティングの定義は、オンデマンドセルフサービス、幅広いネットワーク経由のアクセス、リソースプール、迅速な伸縮性、計測されるサービスなどを本質的な性質として位置付けている。要は、誰でも高機能なインターネットシステムのサービスを利用できるというものだ。
 わが社が代理店をしているセールスフォース社の創業者マーク・ベニオフ氏は「これこそ、ITの民主化だ!」と力説する。これまで高額なシステム投資できる大企業だけが受けてきた最新のITの恩恵を、中小・零細企業にまで、もたらす。ホワイトカラーの生産性向上は、人手不足が顕著な地方では特に大きな課題だ。紙やエクセルで、昭和の頃から何も進化せず、業務を続けている中小企業は多くある。
 ぜひこの便利な道具クラウドを知ってもらい、沖縄の中小企業が元気になっていく手助けができればうれしい。うまんちゅにクラウドのパワーを!
(寺田克彦、テラ・ウェブクリエイト社長)