<南風>ハワイ県系人の絆と誇り


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 そこは天国を思わせる場所だった。見上げた青空にぐんと伸びたヤシの木が重なり、ポストカードに入り込んだ感覚になる。海岸線には面の整った波が押し寄せ、思わず海に飛び込んで波とたわむれたくなる。

 先日、出張でハワイのオアフ島を訪れた。前評判通りの過ごしやすい気候で、からっとした空気が沖縄とは別次元の楽園を思わせる。すれ違う人はみんな笑顔で、多彩な食事のメニューがおなかを鳴らす。
 豊かな自然や食事も魅力的だったが、今回の旅で最も心に残ったのがハワイに暮らす県系人との出会いだ。オアフ島では毎年9月に沖縄文化の祭典「ハワイ沖縄フェスティバル」が催される。会場で提供される沖縄料理の材料もそろい、開催を待つだけとなっていたが、今年はハリケーンの接近に伴い中止となった。
 およそ5万人が来場するビッグイベントに向けて準備を進めてきた県系人の気持ちを思うと胸が痛んだ。しかし、ハワイのウチナーンチュは落胆を引きずることなく、次に何ができるかを考え動いていた。そしてフェスティバルに代わるパーティーを開き、人々の交流を成功させた。
 とりわけ伝統芸能のステージは盛り上がり、一体感を高めた。ハワイのウチナーンチュに唄や三線などに磨きをかける理由について尋ねると「I’m Proud of OKINAWA」という言葉が返ってきて、ふるさとを思う気持ちに心打たれた。滞在中何度も聞いた「困難な時こそ、みんなの力を合わせて乗り越えよう!」という言葉から、苦しい時代も互いに助け合って生きてきた県系人の絆の強さを感じた。
 ハワイ同様、中南米やアジアなど沖縄にルーツを持つ県系人は大勢いて、来月には世界中のウチナーンチュが沖縄に集う。心からのもてなしで大切な家族を迎えたい。
(金城奈々絵、ラジオ沖縄アナウンサー)