<南風>ウチナーンチュ大会 絆の始まり


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 第6回世界のウチナーンチュ大会の開催が近づいてきました。

 前回大会があった2011年、大正区長に就任して2年目だった私は、大正区での沖縄文化振興をどう支援すればよいものか、考えあぐねていました。「行政は全ての区民に公平に接するべき」という理由から、長年行政が沖縄文化をPRするのはタブーとされ、当時の大正区役所と区内の沖縄関連団体との間に接点はほとんど無い状態でした。

 区民の4分の1が沖縄出身者と言われる大正区では、沖縄文化の魅力を発信することがまちを盛り上げる力になる。そう思って最初はやみくもに沖縄県人会や関西沖縄文庫の方々に話し掛け、一方的にお近づきになろうとしました。

 長年全く没交渉だった行政が、いきなり区長自ら近づいて来たのでは、相手は戸惑い、警戒もされたことでしょう。沖縄出身の皆さんとの距離はなかなか縮まりませんでした。

 関係が変わったきっかけは、大正区沖縄県人会の皆さんとバス2台に乗り込んで、夏の甲子園に糸満高校の応援に行ったことでした。一緒に声を合わせて応援し、互いに裃(かみしも)が取れた気がしました。

 その後、1泊2日の休暇を取って前回の世界のウチナーンチュ大会に県人会の皆さんと参加したことで、一気に親密さが加速します。大会でも飲食店でも「大正区長」と大書したタスキをかけて各国からの参加者と交流したことを面白がってもらえ、県人会個々の方からは大正区での半生のお話などもお聞きし、今の親戚のような関係につながる互いの信頼感が生まれました。

 世界のウチナーンチュ大会は私にとって沖縄県人会との絆を結んでくれた思い出深い大会です。今年もタスキ持参で県人会の皆さんと参加するのを楽しみにしています。
(筋原章博、大阪市大正区長)