友人のおばあちゃんは、一人で裁判所へ行って名前を変えました。友人ら家族には事後報告。
驚いた家族が名前を変えた訳を聞くと、おばあちゃんは一言。「カメという名前の人の気持ちが分かるね?」
そんなこと言われると、ぐうの音も出ない。そう。おばあちゃんの変更前の名前はカメ。伝統的な沖縄の名前です。
カメは困難を乗り越えた時代の香りがして誇り高いと思うのですが、本人としてはずっと変えたかったのでしょう。おばあちゃんはカメさんからミチさんになりました。
割烹(かっぽう)着からエプロンになった感じ。文字数は変えずにイメージだけを変えた、おばあちゃんの自己プロデュース力の高さに脱帽です。
さて、私の名前。宜寿次という名字は結婚前の姓です。結婚後は城間になっているのですが、社会的に使用しているのは旧姓の方。
私の世代では仕事で旧姓を使う人も増えていますので問題ないのですが、先輩方からすると異様に映るようで、「はっし、かわとーん(なんと変わった子だ)」という顔をされることもあります。
まあ、ミチおばあちゃん的に言うと、「三十過ぎて姓が変わる人の気持ちが分かるね?」というところです。
名字については、母が対応に苦慮しているようなので書くことにしました。
どうやら本コラムを読んだ母の友人が、母と街で会うと「離婚したのかしら。でも子供が生まれたというし、どういうこと?」というような微妙な態度を示すようなのです。
ミチおばあちゃんのように名前を変更する人もいれば、私のような人もいます。すべては自己プロデュース。どちらも増えていくと思うので、微妙な顔は禁止でよろしくお願いします。
(宜寿次政江、HIV人権ネットワーク沖縄副理事長)