<南風>中小企業と金融機関の新しい関係


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 4月1日。「あなたがやりたかったのって、こういうことだったのね」。弾けんばかりの笑顔でささやいた新城恵子代表理事の声が「カリー(乾杯)」の声にかき消されていきました。沖縄県中小企業家同友会(沖縄同友会)と沖縄海邦銀行が包括的連携協定を結んで2回目のシンポジウム懇親会のことでした。思わず目頭が熱くなりました。

 始まりは1年前の5月5日、小渡〓筆頭代表理事に当行との会議を持ちかけたことからでした。あれから沖縄同友会役員と当行の部長・次席者との話し合いを何度重ねたことでしょう。最初は緊張感が漂い見えない壁があった両者の関係が、2時間の議論と懇親会を重ねるうちに、本音が飛び交い提携内容が見えてきました。

 そして、10月18日包括的連携協定締結を発表、12月7日「中小企業と地域金融機関の新しい関係づくり」をテーマに記念シンポジウムを開催しました。当日は沖縄同友会と当行全支店長・役員150人余が本店ホールに集い、熱い議論が交わされました。それまでの会議で出た疑問や要望を深める講演およびパネルディスカッションだったことや、沖縄同友会からの声が最も大きかった「スピーディーな融資」に関して、その場で頭取が了解したことに会場は湧き、懇親会は時間オーバーの大盛況となりました。シンポの反響は大きく、3月末までに同会の会員が118社増え、当行も新規融資が増加し、相互の交流研鑽(けんさん)が進んでいます。

 新米の社外取締役である私がこれらを仕掛け、リードできたのは、頭取の後押し、総合企画部のサポート、関係部署の連携、評価システム導入など、外からの風を受ける内部の力があったればこそでした。離島振興で培ったノウハウが他の分野へも応用できるというありがたい勉強と実践の機会になりました。
(開(比嘉)梨香、カルティベイト社長 沖縄海邦銀行社外取締役 元沖縄県教育委員長)

※注:〓は王ヘンに「介」