<南風>中学生に夢の舞台を


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 いよいよ、中学校でも各地区中体連体育大会が予定されている。沖縄県中体連・九州中体連・全国大会出場に向けて日々の練習に取り組んでいる生徒の姿が誇らしく思える。新1年生にとっては初の中体連であり、先輩の活躍や熱気あふれる会場の雰囲気に感動を覚えることであろう。

 今や空手道は、授業の一環としてほとんどの生徒が体験し親しまれている。空手道が県中学校体育連盟の正式種目になったのが平成10年。旧具志川市の具志川中学校体育館で第1回大会がスタートし、来年は20周年の記念大会となる。

 当時、私は初代県中体連空手道専門部長として、県中体連加盟に向けて多くの方々のお世話になり、協力と理解をしてもらうまでにも大変な苦労があった。規約では3地区中体連に空手道専門部が設置されていることが条件だったため、空手経験者を募り、島尻・中頭・八重山・国頭地区に専門部を開設できた。

 校長会でも説明を求められ(空手は暴力的で危険な競技ではないのか、競技方法はどうするのか、大会運営はやっていけるのか)と全てがゼロからのスタートであったため課題は山積していた。専門部で何度も話し合いを持ち試行錯誤しながら運営に当たってきた。

 中学の専門部の先生方は、他の競技と掛け持ちしながら大会を運営した。生徒も小学校までは地域の道場で空手を習っていたが、中学校に受け皿がないため人気のあるスポーツへ移っていくのが実情だった。

 県専門部の設立により大会へ参加する生徒も増え、選手のレベルアップにつながっている。その結果、夢の舞台である全国大会で優勝する選手・団体も数多く生まれた。その一人が喜友名諒選手であり、今や日本を代表する選手となり、子どもたちの憧れである。夢の舞台・東京五輪での金メダル獲得に期待がかかる。
(田村正人 県空手道連盟強化委員長、県立前原高校教諭)