<南風>「睡眠医療」とは


社会
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 初めまして。今月から「南風」のコラムを担当する精神科医の普天間国博と申します。半年間、私の専門である「睡眠」を切り口に執筆していく予定です。今回は第1回ということで私の経歴を紹介させて下さい。

 私は琉球大学医学部を卒業し、研修医の頃に睡眠医療に興味を抱くようになりました。睡眠を専門に学べる大学病院は全国でも限られていたため、沖縄を離れ、睡眠学講座のある東京医科大学病院(以下「東京医大」)で精神科医としてのキャリアをスタートしました。

 東京医大は西新宿の高層ビル街に立地し華やかなところでしたが、病院近くのマンションの家賃がべらぼうに高いのには驚きました。大学病院の給料は安く生活費のため民間病院でのバイトを含めると1カ月のうち15日は当直をしていました。

 都心の私大病院に在籍する医師は裕福な開業医の子弟も多く、「田舎から場違いなところへ来てしまった」と当初は戸惑いました。

 東京医大は親切なドクターが多く、特に睡眠の権威である井上雄一教授や同郷の高江洲義和先生(後に杏林大に転籍)には大変お世話になりました。学位のために自分の睡眠を削りながら睡眠の論文を執筆するという矛盾した生活をしていた時期もありましたが、周囲の助けもあり東京で研鑽(さん)を積むことができました。

 その間、2016(平成28)年に南風原町のサマリヤ人病院に沖縄でも数少ない睡眠専門外来が開設されました。サマリヤ人病院からお誘いをいただき私も沖縄の睡眠医療に貢献していきたいと望郷の念にかられ今年の5月に故郷に戻ることを決めました。7年前に「南風」にのって沖縄から東京へ旅立った青二才も年を重ねて「南風」に誘われるまま沖縄に帰ってまいりました。このコラムを通してみなさんのお役に立つ睡眠のお話ができれば幸いです。
(普天間国博、嬉野が丘サマリヤ人病院 医師・医学博士)