コラム「南風」 惑ラグビー


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 高齢社会では全競技、生涯スポーツへの対応が迫られている。ラグビーも同様。現在ラグビー人口を世代別に見ると、高校が中心。高校前、高校後がボトルネックとなっており、この2層の充実が普及強化の鍵となっている。特に後者は2019年ワールドカップ日本開催に向けて観客層として強化が必要とされている。

 実は日本はシニアラグビー先進国。戦後すぐ世界で初めて40歳以上のラグビーチームが誕生。世代ごとでパンツを色分けし、年齢に応じ競技できるシステムを整え、各地域、また地域間でチームが発足し交流している。また、各チーム、個人の事情を勘案し、ローカルルールを適用して柔軟に競技を行うエンジョイラグビーもあり、黄金パンツの90代ラガーマンも健在。沖縄でも「琉惑」が発足し、遅ればせながら南国中高年ラガーの活動の場も生まれた。
 ただそうはいってもコンタクトは不安。一家の大黒柱がけがで倒れることも。そこで躊躇(ちゅうちょ)する人も少なくない。ただ生涯スポーツの目的は単に競技面だけではない。指導を通じてスポーツに関わり、自らの自己充足感を満たすことも同様に重要。ラグビー普及のもう一つの鍵、「高校前」を打開するため、タグやジュニアの普及強化が謳(うた)われているが、その発展も指導者層の充実次第。現役をリタイアしてもラグビーに関わる喜びをぜひジュニアの指導で。また経験有無、性別関係なく関わることができるのがタグ。Tag to Rugby.(タグからラグビーへ)
 ラグビーの有名な言葉、「ラグビーは少年をいち早く大人にし、大人にいつまでも少年の心を抱かせる」ラグビーへの誘(いざな)い役、ナビゲーターとして将来世代の育成を。一プレーヤーとして「生涯現役宣言」を。ラグビーもやはり生涯スポーツ。さあ、あなたたちの出番。旧ラガーの里帰り、新ラガーの誕生にエールを!
(喜瀬典彦、県ラグビーフットボール協会広報委員長)