コラム「南風」 ふるさとキャリア教育


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 秋田県大館市を2泊3日の日程で訪問してきました。教育委員会の取り組み、小学校での授業風景、課外活動などを観察し、関係者の方と意見交換しました。目から鱗(うろこ)の話ばかりでした。

 今回お邪魔したのは、大館市立釈迦内小学校が取り組んでいる学校と地域が一体となった「ひまわりプロジェクト」を中心とした話を聞くことが目的でした。
 釈迦内小学校では地域の中心に学校を据えて、一つの具体的なプロジェクトを設定し、地域と一体となったキャリア教育を推進しています。結果として過度に過去問題をドリル学習させるようなことはせずとも、学習の積極性や考える力が身に付いているので、試験の点数がいいのです。ひまわりプロジェクトについては、詳しく紹介する字数がないのでインターネットで「大館ひまわりプロジェクト」で検索してみてください。
 大館との出会いは、映画を通したまちづくりからでした。名護の商店街で映画を作り、新たな魅力を付加していきたい。そのお手本の一つが市民参加の大館映像計画が作った「ハナばあちゃん!」でした。地域がつながり、思いもよらない方向へどんどん広がっていく。このダイナミックさがたまりません。今回は映画からまちづくり、そして基本は人なので、子どもたちの教育をどうするかという点でつながりました。
 結局地域で生きるということは、商業の活性化も教育も一体的に進めていくことが必要で、PTAも地域の活動も、そして商店街の活動もつながり、いつかは実を結ぶ日が来るだろうと確信しました。
 最後に、大館市教育長がおっしゃっていた「ふるさとキャリア教育は、子どもたちの未来ゆきの乗車券」という言葉をかみしめて、やんばるの子どもたちを地域で支える仕組みをつくっていこうと意を固くしました。
(末吉司、NPO法人HICO理事長)