「しりとり」は、誰もが何度もやった言葉遊びだ。道具も何も必要ないという点で「じゃんけん」とともに素晴らしい2大発明と思う。
先日、小学1年の次女とそのしりとりをやっていた。
父「てんとうむし」
次女「しか」
父「かさ」
次女「・・さがきるす!」
ここで「そんなものはない」と言うのは簡単だ。しかし、時に大人も「るいべ」や「ルンバ」など明らかに子供が知らない言葉を使うことがある。そのような時、子供は
「それ、なに?」
と聞く。当然だ。
まてよ、それなら今回も、当方が「さがきるす」を知らないだけかもしれない。
なので本人に聞いてみた。
「さがきるすって何色?」「きいろ」「形は?」「まるっこい」と続き「生き物で、4本の手足と尾を持ち、大きさは旅客機くらい。目からビームを発射する」ということが判明した。
「さがきるす」は、次女が空想した「黄色い大きな動物」だった。でも、ばかにできない。河童(かっぱ)も龍もつちのこも、最初はだれか1人の空想だったはず。それが今や、しりとりで堂々と使える単語になっている。
「さがきるす」だけでは何もわからない。しかし、今みなさんの頭の中では、「黄色い大きな生き物」がぼんやりと動いているのではないだろうか。突飛なことも順を追って説明すれば、だいぶ相手に伝わるという良い例だ。逆に説明が飛んだり揺らいだりすれば、全く相手に伝わらない。
想(おも)いやひらめきは大切だ。一方、これらを意味あるものに育てるには、「筋道の通った考え方と説明」が必要だ。「ひらめき」と「論理的思考」は、真逆にも思えるが、新しい発見や開発には重要な車の両輪なのだ。
「さがきるす」
しりとりで普通に使える日が来るのが楽しみだ。
(塚原正俊、バイオジェットCEO)