コラム「南風」 緑と縁の街


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 ピンプンガジュマルのお膝元の名護大通りは、今30年後も50年後も人が行き交う商店街に生まれ変わるために、土をならし、種をまき始めています。目指すは日本一、訪れる人が居心地よく癒やされる街です。戯言(たわごと)だと笑われるかもしれませんが、皆で汗をかいて爽やかな風を吹かせてみたいと思います。

 コンセプトは「みどり」と「えにし」です。ヒトの五感に訴えるような音のある街、香りのする街、触れる街、景観のいい街、もちろん美味(おい)しい食べ物のある街を創っていきます。「造る」というより「創る」です。
 やる気のある、よそ者、若者、ばか者を結集して、そして民間も行政もアカデミックな分野も集結して取り組んでいきますが、課題はマインドといいますか、場の空気です。「どうせ…」や「時間がない、お金がない、人がいない」などのナイナイ病を理由に工夫をせずに誰かのせいにしている、社会の空気です。
 課題に対しては、世の中を変えようとか、誰の考えを変えさせる、などでなく自分が変わり、商店街として一人一人ができることをやっていきます。少しだけ背伸びしながら。
 そして必要なものは具体的なプロジェクトです。同じ方向を向いて多様な主体が一緒に汗を流せる、分かりやすい目標です。目指すゴールへたどり着くための手段がポイントですが、ここは知恵の出しどころで我々(われわれ)は映画という手法をとります。市民参加とザ・エンターテインメントの力で商店街再生へ切り込んでいきます。
 さて、今回で小生の担当も終わりです。毎回駄文にお付き合いいただきありがとうございました。各地域でさまざまなまちおこしの取り組みがありますが、名護・やんばるのこれからにも関心を持っていただければ幸いです。これから終わらないまちづくりが始まります。
(末吉司、NPO法人HICO理事長)