コラム「南風」 コラムとわたし


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 今年の1月から執筆を始めてから、今回で最終回を迎えた。今振り返ると、この半年間は本当にいろいろなことがあった。ミス日本大会に出場したり、被災地を訪ねたり、報道特番を制作したり、婚約したりと。

 1回目は、出来上がったコラムを上司に添削してもらおうと見せたところ、「おもしろくない」という愛のムチをもらい、3度のボツを乗り越え、夜中に提出した苦い思い出がある。700字程度だが、伝えたい想いが溢(あふ)れすぎてなかなか文字を削ることができずに悩んだことや、逆に書くネタが見つからず、ラジオの生放送番組でリスナーに呼びかけ、ネタを募集するほど困った時もあった。
 けれど、コラムを執筆するようになってから私の中で少しずつ変わってきたことがある。どんなにつらいことや悲しいことがあっても、それを胸にしまうのではなく感じたことを、拙(つたな)くても背伸びせず自分の言葉で伝えること。
 そう意識してコラムと向き合ってから、南風を見てくれた方々から激励の手紙や電話を多く頂くようになった。一番胸に残っているのは、取材中、病気で亡くなった語り部の女性の生きざまを多くの人に伝えたいと思い、コラムにつづったこと。すると翌日、彼女の娘からラジオ沖縄に電話があった。「母が強い意志を持って語り部をしていたなんて知りませんでした。きっと語り部としての仕事が母の生きる糧になっていたと思います」と、泣きながらありがとうと言われた。その時、手段はラジオであれ新聞であれ、“伝える”ことが私の使命だと確信した。
 南風の中は、“アナウンサー”や“報道記者”の鎧を脱いで一人の伊波紗友里として「素」でいられたとても心地いい場所でした。
 琉球新報の皆さま、半年間応援してくれた読者の皆さま、ほんとうにありがとうございました!
(伊波紗友里、ラジオ沖縄アナウンサー兼記者)