コラム「南風」 道


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 先日、時間があったのでドライブをしていると、なじみ深いある三差路が、十字路になっていた。道の伸びるままに進んでみると、思いがけない場所につながっており、ふと私の人生みたいだと思った。

 人生は、道そのものである。ほんの30年ばかりの青い半生を振り返ってみると、分かれ道の連続であったように思う。これは人生の分かれ道だ。大きな局面を迎えるたびにそう意識して、懸命に困難と向き合ってきた。その度に選んだ分かれ道に後悔の色はほとんどない。
 きっと遠回りの道も選んでしまったかもしれない。しかし、分かれ道の連続によってたどり着いた所は非常に良い風が吹き眺めの良い場所である。思いがけない所に来たような気もするが、随分と心地よい人生になった。
 さて、ここ数年脇目もふらずに走ってきた。後悔はないが、果たして正しい道を選択できたのだろかと不安になったりもする。立ち止まって周りの景色を眺めていないせいであろう。少し息切れもしてきた。人生はまだ折り返し地点にも来ていないのだから、たまには立ち止まってぐるりと景色を眺めてみるとする。
 最後に歌をひとつ―。
しばし立ちよどで
出で立ちよすらね
道々の果てや
無いらぬあれば
(しばらく立ち止まったら、また出発しようか。道に終わりはないのだから)
     *
 連載後、多くの方に激励の言葉をいただきました。締め切り間際などは、ドラマで見る小説家そのもの。うんうんうなってなんとか一本の原稿を仕上げていましたので、「読んでるよ」のお声は本当に嬉(うれ)しかったです。声を掛けてくれる人は皆、例外なく笑顔でした。その笑顔が、何よりのご褒美となったような気がします。
 半年間、本当にありがとうございました。
(伊良波さゆき、役者)