コラム「南風」 大人も夢中 絵本の世界


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 絵本で2時間たっぷり遊びました。遊んだのは大人の皆さんです。
 人気絵本『へんしんトンネル』や『たまごにいちゃん』シリーズでおなじみの絵本作家、あきやまただし先生の「絵本で遊ぼう」と題した講演会が8月1日、豊見城中央公民館で開かれました。

 実のところ、あきやま先生の絵本を教室へ出向いて読み聞かせをするには、かなりのコツが要ります。「読む」というよりも子どもたちと“掛け合い”を楽しんだり、“言葉でなりきったり”と、読み手の大人の遊び心が要求されます。
 チャンス到来。著者本人の「読み聞かせ」をしっかり習得しなければと必死にメモを取りました。
 あきやま先生、かなりの芸人です。タンバリンを足に、ギターを手にして舞台中央のスクリーンに写し出された絵本のページをめくりながら「きょうは大人の前で大丈夫かな」と、照れながらもアナウンサー顔負けのすてきな声を響かせ、会場の皆さんを絵本の世界へと誘い込んでいきます。
 普段、教壇に立ち指導する立場の先生たち(九州地区から参加した学校図書館関係者450人余)が、あきやま先生の話術に引き込まれ、「とけいとけいとけい…」「ぼたんぼたんぼたん…」と、言葉の変身に大笑いをして楽しんでいます。
 時折、図書館で子どもたちが絵本のフレーズに節を付けて楽しんでいる姿に、「絵本で遊べる子どもっていいなー」と幸せな気分になるのですが、その日は笑い声に包まれている大人を見て「絵本で遊べる大人もいいなー」とうれしくなりました。
 1週間後、あきやま先生の絵本を両手に抱えた若い男性が図書館に見えました。うれしくなって講演会の話をしたら、「私も行ってきました」と笑顔が返ってきました。早速、実践するとのことです。
(平良京子、県子どもの本研究会副会長)