コラム「南風」 一期一会


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 13年前、一つの出会いから岡山県との縁がつながった。岡山県では知らない人はいないリョービグループ。その中のリョービツアーズという旅行社と出会った。

 思い起こせば13年前、岡山の施設のお客さまを観光バスでご案内した。その時の添乗員であったHさんは、3日間の私の案内に旅行の在り方を考えさせられたという。年齢層も幅広く知的障害を持ったお客さまにどんな案内をしたらいいだろうか? 難しい話は要らない。皆さまが心地よく過ごせるように、歌を中心にして音楽の調べに乗せて言葉を奏でていく。心の距離は少しずつ近づいていった。無理に入り込まず、ゆっくりとこわばった表情は緩み始め、笑顔を見せ始めた。
 同じ時間を過ごすうちに一緒に歌を口ずさむようになり、心が一つになった瞬間、何ともいえないうれしさがこみ上げた。
 素直に気持ちを表現するピュアな心に触れた旅。空港に向かうバスの中、愛(いと)しくて涙が止まらなかった。思いを分かち合った3日間。仕事の縁で知り合ったHさん。13年の時を経て小さな津山の支店長から専務に昇格し、100年の歴史を持つリョービグループに新たな風を送り、さまざまな取り組みにチャレンジしながら社員に刺激と感動を与えている。感動なくして人の成長は有り得ない!
 世のため人のため『旅』を通してお客さまに人生の学びの旅を届けたい! 同じ思いを持っていればきっといい仕事ができる。多感な中学生に一生心に残る沖縄修学旅行を提案していこう。
 こうして私とH氏の沖縄修学旅行心の旅が生まれた。たった1校からスタートした岡山県の沖縄修学旅行は7年たった今、15校まで縁をつないできた。一期一会。新たな夢に向かい、ここからまた共に歩き始める旅が始まった。次に続く。
(崎原真弓、バスガイド)