コラム「南風」 うちなーぐちで詩を


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 灯火親しむ季節となり、「出前読み聞かせ」で訪問する学校でも「ただ今、読書月間(旬間)まっ最中」のポスターが目につきます。9月11日に訪れた上間小学校も読書月間中で、図書館は子どもたちでにぎわっていました。図書館掲示板に張り出された太い文字の詩が目にとまりました。その詩は、私自身も何度も暗唱し、子どもたちと読み聞かせを楽しんだ、工藤直子さんの詩『のはらうた』の中の詩でした。

 しかし、教科書や本に載っている『のはらうた』ではなく、うちなーぐちで訳された詩なのです。掲示板に張り出されていた詩は、詩集「のはらうた」の中で子どもたちに人気のある「かまきりりゅうじ」の詩です。味わい深いうちなーぐちの詩を声に出して読んでみましょう。
 わんねー いさとぅー
    かまきりりゅうじいぇー なちなとーんどーわんねー がんじゅーどーあんすか ゆらんきよーわん ちむん かまんちむだくだくーするぐれーひかとーんどーいぇー あちさんどーわんねー ちばいんどーいっぺー てぃーだ あたてぃかま ふぃあぎーるしがたちむどんどんするぐれーちびらーさんどー
 本文は『のはらうた1』(出版社・童話屋)に掲載。
 なぜか、カマキリだと尻込みするのですが、「いさとぅー」だと親しみさえ感じるから不思議です。
 ところで、うちなーぐち訳をしたのは元学校司書で友人の与儀千鶴子さん。『のはらうた』が大好きでついに『うちなーぐちのはらうた』の作品集を作りました。さらに工藤直子先生へ会いに行き、自作を献上したとのこと。
 工藤先生曰(いわ)く「どうぞ、皆さんそれぞれの、のはらうたを楽しんでいいのよ」。
 うちなーぐちのはらうたは、那覇市内の小・中学校図書館で活用されています。
(平良京子、県子どもの本研究会副会長)