コラム「南風」 ビデオゲームオーケストラの話 その2


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 僕がプロデュースするビデオゲームオーケストラの話は続きます。3回目の公演が節目となり、メディアへの露出が増えて頻繁にいろんなイベントに招待されるようになりました。PAXという北米最大の約7万人が来場するゲームイベントに出演もしたし、ボストンだけじゃなくシアトル、シカゴ、ワシントンDC、等々いろいろな都市で演奏もしました。それらのイベント出演と平行し、ボストンでの単独公演を定期的に継続していきました。

 そして忘れもしない2011年4月1日。世界的指揮者の小沢征爾さんが音楽監督・指揮者を務めていたボストン交響楽団の本拠地、ボストンシンフォニーホールでの公演。112年の歴史があるこの会場は、世界トップクラスの音の響きを持つといわれている由緒ある場所。そんな威厳のあるホールで、設立わずか3年未満のオーケストラが、しかもクラシックではなくゲーム音楽というものをロックバンドとオーケストラという編成で演奏。2千枚以上のチケットを完売し、ダフ屋まで出没させた、という「衝撃的な未知なる現象」が起きたわけです。クラシックのホールで絶叫して立ち上がる奴らがいる超最高な現象を巻き起こしたこの前代未聞のコンサートは、ボストングローブなどのメジャーなメディアでかなり大々的に取り上げられました。
 しかしこの規模のコンサートになってくると、やはり裏ではいろいろな大変なこともあるわけです。100人以上のメンバーやゲストのマネジメント、編曲、演奏、MC、宣伝、ビジネス…と一人でできる量を超えていましたね。睡眠時間も非常に少なく、頭がおかしくなりそうな状態が続きました。蛇の道のように終わりが見えない状況にくじけそうになったこともあったけれど、最後まで諦めず成し遂げました。続きます。
(仲間将太(なかましょうた)、音楽プロデューサー ギターリスト)