コラム「南風」 地域に支えられて30年


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 沖縄県内には、児童養護施設が8カ所ある。私が理事長をしている島添の丘は30年前の6月1日に創設された。今年は創立30年の記念すべき年にあたる。地域の皆さんをはじめ、多くのボランティア、関係者、県民、そして沖縄県などに支えられて、30年を迎えることができた。感無量である。

 施設が立地する平良区は島添の子どもたちを地域の子どもとして温かく受け入れてくれている。また、旧大里村、南城市の関係者も島添の丘の行事を中心に協力をいただいている。例えば、法人の最大の行事である新春もちつき大会も「南城市大里新春もちつき大会」として地域ぐるみで取り組んでいる。全国的にも誇るべき「地域立施設」と呼べるまでに、われわれの施設を支えてくれている。本当にありがたいことだ。このように島添の丘は単に1法人が経営する施設にとどまらず、地域や多くの県民に支えられて、30周年を迎えることができた。
 子どもたちが社会的に自立するためには、教育の果たす力は大きい。施設の子どもたちが通う大里の幼稚園、小・中学校は常に施設職員と連携を密にしながら支援している。また、ボランティアも親身になって関わってくれている。施設に来るまで、ほとんど学習習慣のなかった子どもたちが現在では全員が高校進学そして就職、大学進学するまでに成長している。島添の丘は、地域、学校、ボランティアと連携しながら、子どもたちの育ちを支えてきた。
 この30年間に、309人の児童を受け入れ、3月までに250人が施設を巣立っていった。このように多くの若者が社会的自立を果たし、納税者として社会に貢献している。今後も、子どもたちの笑顔と笑い声の絶えない施設、そして自立支援を図ることで、社会的役割を果たしていきたいと、創立30年を期に決意を新たにしているところである。
(神里博武、社会福祉法人豊友会理事長)