コラム「南風」 個性爆発


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 半年ほどレッスンをしている保育園では、子どもたちが自分の殻を破り、個性を発揮してきたように感じることが多々あります。その一つに「ジャンプ&ポーズ」(リズムに乗せてジャンプした後、ポーズを取る一連の動き)があります。

 最初のころは私をまねるだけでしたが、最近では独自で考えたユニークなポーズを取る子が増えてきました。眼力も以前とは異なり、一点を見つめる姿が印象的です。自信のない表情の子も、褒めれば二度目には自信に満ちた面持ちでポーズを取ります。彼らが放つエネルギーに負けないよう、私もキレあるポーズ(自分で言うのもなんですが…)で対抗します。
 ストリートダンスの楽しみ方の一つに『サイファー(サークル)』というものがあります。ダンサー数人で輪を作り、一人ずつ(時には複数人で)輪の中心でダンスを披露するというものです。中にはピリピリとした緊張感漂うムードのサイファーも存在しますが、大抵の場合は真ん中で踊ることに対して称賛されるし、初心者や未経験者が踊る場合は、前に出るだけで拍手喝采と熱い声援が送られます。
 ダンスとは本来、皆で一つの空間を共有しながら自分を表現し、人との違いを楽しむものだと思います。そして自分を表現することに若いうちから慣れれば、ダンスの枠を超えて、将来的に自分の思いや考えを主張しなければならない場面で力を発揮することができるはずです。
 これからは個人の時代と言われています。今までは皆と一緒であることが良しとされてきましたが、これからは一人一人が自分の強みを活(い)かし、組織に依存することなく世の中に貢献することが求められます。そんな時代を生きるために必要な自己表現力を、ダンスは養ってくれると思います。
(伊狩誓志、ストリートダンス講師)