コラム「南風」 クリスマスプレゼント


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 ナレーター、タレントとの表記で、仕事にまつわることから全く関係のないことまで、およそ半年にわたってツラツラと書き連ねてきた。ナレーター、タレントという表記には意味があって、当方が現在、生業(なりわい)として収入を得ている額の多い順(たまに入れ替わる)に並べてある。これが5年以上前なら「ギタリスト」と表記していただろう。

 今の仕事をしているのは、もちろん「好き」というのもあるが、流れでそうなったというのもある。一時期、生業の一つとしていたバンドが解散。その他の収入源であった勤務先もいわゆる倒産という軽い憂き目にあい、とにかく「できること」で食べていかなければならないということで、始めたという側面がある。ありがたいことに、運よく今の仕事でなんとか食べていける(うまいものが食べられるほどではないが)までになったので、久々に来年からギターを武器に、何らかのカタチでステージに立とうと、虎視眈々(たんたん)といえばカッコイイが、実際はのんびりもくろんでいた。
 すると、メカルジンという県内でナイスなロックサウンドを響かせているアーティストの「サポートギタリスト」として、はやくもオファーがあり、現時点ですでに2ステージをこなした。「異常なまでの居心地のよさと馴染(なじ)む感」的な感覚とともに、至福の時間に包まれた。
 世界的なプログレッシブバンド、キング・クリムゾンの中心人物、ロバート・フィリップいわく、「ミュージシャンが音楽を創っているのではなく、音楽がミュージシャンを創っている」とある。今回の当方をとりまく流れは、「音楽」からあらためて声が掛かったような気がしていて、「音楽」から少し早めの、贅沢(ぜいたく)なクリスマスプレゼントをもらったのだと受け止めている。
(知花悠介、ナレーター タレント)