コラム「南風」 初心


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 現在は小学生までの子どもたちにダンスを教えています。今の私からは想像もつかないかもしれませんが、この仕事を受ける前の私にとって彼らは苦手な存在でした。実を言うと、注意散漫で悪ふざけばかり仕掛けてくる彼らのことが面倒くさくてしょうがないと思っておりました。

 しかし、仕事は仕事、好き嫌いを言う余裕などありません。彼らをどう惹(ひ)きつけて、ダンスを教えることができるかを必死で考えること以外に選択の余地はありませんでした。失敗を重ねるうちに、子どもたちが良い反応を示す成功パターンが少しずつ増えるようになりました。試行錯誤を繰り返すうちに子どもたちに愛着が湧き始め、彼らがダンスを通して多くのことを学ぶにはどうしたらよいかという考え方をするようになりました。
 さまざまな場面で彼らの成長を実感する時の喜びは何事にも代えがたいものです。最近では「ちかし先生 将来の夢、決まったよ!ダンサーになること!」と満面の笑みで語る幼稚園児を始め、普段は自己表現が苦手な子が一生懸命ダンスに取り組む姿勢に感動する担任の先生を目の当たりにし、ダンスは確かに子どもたちにとってプラスの影響を与えているのだと確信しました。
 こうやって現在の活動を続け、色んなことを学ばせていただいているのも、多くの方々から頂いたチャンスと支えのお陰(かげ)です。数え切れない程のご迷惑をお掛けしながらもなお、応援してくださる皆さんには感謝してもしきれません。また、思慮、気配りに欠ける若造の記事を読んでくださった読者の皆さんにも、この場を借りてお礼を申し上げます。これからもダンスが持つ魅力を広く社会に活(い)かせるよう、初心を忘れずしっかりと活動を続けてまいります。皆さんからのご指導と応援を、今後ともよろしくお願い致します。
(伊狩誓志、ストリートダンス講師)