コラム「南風」 国際化の巻 その(2)


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 沖縄は国際的になったのだろうか。観光立県を標榜(ひょうぼう)しても、「海も空も伝統文化もすばらしい。だけどコミュニケーションができなくて」と外国の観光客は残念そう。ある大学院の教授には「銀行の口座を開こうとしたが、手続きが煩雑で、送金もままならない。まるで南洋諸島のバナナ・リパブリックだ」と揶揄(やゆ)された。われわれが片言の英語を得意げに振り回して、米兵を茶化していた少年時代から、あまり変わらない気がする。

 一つのてっとりばやい提案は、観光に携わる人たちに片言英会話(中国語でもよい)を奨励することで、例えば、暇な店先への出前英語ゆんたくと教材の助成金を作ったらどうだろう。今は英会話教室など経営的に成り立たないケースも多いと思うが、何とか需要と供給のバランスが取れるシステムが作れないだろうか。
 基地内大学受け入れ制度も大田元知事が提唱してもう二十数年になると思うが、卒業した人材は国際化の中核に成り得ただろうか。私の周りには、短期留学や基地内大学を終えても適職を得ず、結局、宝の持ち腐れに終わる人がいる。市場がないというよりは連携の問題ではなかろうか。人材には賞味期限があるのだ。
 そして忘れてはならないのがアメラジアンの子どもたちの存在だ。われわれがどんなに頑張っても教養英語の域を脱しないのに比べ、彼らはネーティブスピーカーで、沖縄にとって大切な人材である。経済的制約の多い彼らにさらなる教育機会を与え、積極的に活用することが求められる。
 ところで、私はガリオア・フルブライト同窓会の伝統を継いだ沖縄アメリカ協会の会員である。留学経験のある方のみならず、アメリカに縁故のある方なら、どなたでも歓迎です。30日(金)午後6時半、ホテルロイヤルオリオンで懇親会(会費5千円)があるので気軽にいらしてください。
(南城秀夫、通訳・作家)