コラム「南風」 共に生きる


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 私にとっての初海外は、アフリカ・スーダン。スーダンと私を繋(つな)げてくれたのはNPOの「ロシナンテス」理事長である医師川原尚行さんという方で、スーダンの医療の届いていない地域のために日々活動されています。

 2011年、スーダンから子どもたちを東北に招き被災地の子どもたちと運動会を開催した際、私も歌を届ける機会をつくってくださいました。そこで生まれたつながりから、念願のスーダンへ。40度を超える灼熱(しゃくねつ)の国。中心市内から2時間余り車を走らせ村に向かうと、まさにアフリカの広大な大地が待っていました。
 動物の群れと何度もすれ違いながら標識もない道なき道をどんどんと進み、ようやくたどり着いた小さな村。飛び込んできたのは、幼い子どもたちがロバの背中にくくり付けられた水缶を何度も往復し運んでいる姿。ここでは子どもたちも大人と同じように働きます。そんな姿に日頃の自分と比べ反省していると、「ランチにしよう!」と村の方々が歓迎の意を表す最高級のヤギ料理でもてなしてくださいました。
 生きたヤギを一から調理するところを見せてくださったのですが、普段は見る機会のない光景にスタディーツアーで参加していた女子大学生は耐え切れず泣き出してしまいました。私たちは何げなくお肉を食べていますが、それは尊い命の上で成り立っていること。「いただきます」の意味を心から感じた瞬間でした。村人たちとの会話の中でとても印象に残った言葉があります。
 「こんなに広い大地で道に迷ったりしないの?」という質問に村の方が一言。「道は動物が教えてくれるよ」。ここでは人間と動物が“共に生きている”ことを感じます。世界では今いろいろな悲劇が起こっていますが、“共に生きる”世界が一日も早く訪れることを願うばかりです。
(しおり、シンガー・ソングライター)