コラム「南風」 「室内楽って…?」


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 皆さん、クラシック音楽というとオーケストラをイメージしていませんか?
 オーケストラは大勢の奏者が一つの音楽をつくりあげていきます。それに対し、室内楽は演奏者が少ない小編成のアンサンブル。独創性を持って音楽をつくり上げていきます。では、室内楽とはいったい…?

 室内楽は17世紀の貴族のサロンにおいて、少人数で演奏される宮廷音楽が由来です。その後、演奏の場が宮廷サロンから市民に開かれた演奏会へと広がっていきました。室内楽といっても形態はいろいろです。二重奏(同じ楽器、または異なるふたつの楽器)、ピアノとそれぞれ楽器の組み合わせなど。三重奏、四重奏、五重奏、六重奏、七重奏、八重奏など。
 またピアノが入ると名称もピアノ○○奏に変わります。例えば弦楽三重奏にピアノが加わるとピアノ四重奏のように。室内楽を聞く魅力は何といっても一つのパートを1人の奏者が演奏するので、パートごとに分かれている音楽上の役割が明確に見え、奏者の対話が聴けるところです。
 信頼関係があった上で、奏者は楽器で対話します。例えば「ここはこんな感じで歌うね(弾きますね)」と奏でれば「そうそう、こんな感じ~」または「ここからは違う雰囲気で~」など、楽譜から作曲者の意図を読み取り、そのグループの世界をつくっていく。とにかく周りの音をよく聞く必要があり、また周りの奏者にも自分の言いたいことが伝わるように演奏しなければなりません。ある意味、ソロを弾くよりも難しいかも。でもそこが奏者にとっては演奏会までの過程も含め、最高に楽しいのものです。
 さぁ!春です。17世紀のサロン音楽のように室内楽を楽しむも良し、ホールに出掛けて大迫力のオーケストラを聴くも良し、心躍らせコンサートに出掛けましょう!
(新垣伊津子、ヴィオラ奏者)