コラム「南風」 「人材不足」への処方箋


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 沖縄で「人材不足」が言われるようになり、久しくなります。
 実際、本年1月の沖縄の有効求人倍率は0・76倍となっています。いまだ全国最下位の水準とはいえ、4年前には0・2倍台であったことを考えると雇用情勢は大幅に改善しており、同時に多くの業界で人材不足感が急速に強まっています。このような中、ハローワークに出される求人も従来と同じ条件では充足が難しい状況にあります。

 ところで、こうした状況を「人手」不足と言うか「人材」不足と言うかで迷ったことがあります。それぞれの意味を調べた結果、「人材」という言葉がより適切だろうと思い使うことにしたのですが、「人財」とする企業もあるようです。まさに「人は財産」との理念に基づき名付けられたのだろうと思います。
 さて、昨今の人材不足の状況の中で人材確保の切り札と言えそうなのが「正社員雇用」です。沖縄労働局の統計では、正社員求人の方が非正規求人よりも充足割合が高く、事務職では約7倍もの差があります。
 また、正社員雇用は中長期的に企業の生産性やサービスの質の向上も期待できます。加えて、離職率の低下による採用や教育コストの削減も見過ごせないのではないでしょうか。
 沖縄労働局では、県と連携して、本年1月から3月を「正社員就職実現」キャンペーン期間として、ハローワーク窓口での正社員求人の提出促進やマッチングの強化、企業を訪問しての正社員雇用の要請を行っています。事業主や業界団体には、将来を見越した「骨太」の経営のためにも、この機会に一人でも多く正社員での雇用をお願いしたいと思います。
 労働局・ハローワークとしても助成金などを通じて、意欲ある事業主の取り組みを積極的に支援していきたいと思っています。
(國代尚章、沖縄労働局職業安定部長)