コラム「南風」 イチキロヘラス取材よもやま話


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 長寿県・沖縄が崩壊しつつある今、沖縄テレビ、琉球新報社、ラジオ沖縄では、「イチキロヘラス」というプロジェクトに取り組んでいます。沖縄の健康問題の根源が肥満であることから、「まずは1キロ減らすことから始めよう」と呼び掛けるものです。私はこのプロジェクトの担当で、医師や専門家を取材したり、地域や事業所の取り組み、気軽にできる運動などを紹介したりしています。

 最近は多くの市町村が健康料理教室を開いています。講師は食生活改善推進員や、管理栄養士、料理研究家など。受講者の多くは毎日台所に立つ女性ですが、定年前後の男性の姿も見られます。実はこの教室でちょっと面白いことが起きます。女性はこの機会に料理の基本を学び直そうとレシピに従順なのに対し、なぜか男性は自己流を披露しようとするのです!
 料理教室では、油や塩の適量を知り、味を覚えることが大切。「すべての調味料を必ず計量するように」と講師は強調します。しかし、いざ実習となると、多くの男性が「料理は目分量!」と、ボトルからそのまま鍋へ…。すかさず講師が駆けつけ、「これでは教室の意味がありません!」お父さんたちは、しょんぼりして計量スプーンを探しにいきます。しかし出来上がった料理を食べる時は、みんな笑顔。「妻を手伝ってあげたい」「ひとり者だから心がけたい」と優しい味わいの食事を噛(か)み締めています。
 男性の平均寿命が全国一位の長野県松川村の職員が、女性の長寿1位の北中城村を訪れた時のこと。関係者は「共通点は、高齢者が地域で交流をしていること」と話していました。県内の自治体には、史跡を巡るウオーキングや、室内で楽しめる競技、ダイエットサークルなど、工夫を凝らしたさまざまな取り組みがあります。この春、一緒にイチキロヘラス始めませんか?
(金城わか菜、沖縄テレビ放送アナウンサー)