コラム「南風」 掛け替えのない財産


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 読者の皆さんにはどんな財産がありますか。どなたも何らかの財産をお持ちだと思いますが、私はこの仕事に携わって、友人という財産が増えました。毎日の仕事の仲間、友人、知人、家族と私の財産は増える一方です。

地位や名誉・肩書のない私にとって友人という存在は掛け替えのない財産です。毎年、夏と冬に来てくれる本土からの友人と今年の正月も一緒に迎えることができました。
 年越しには沖縄そば、正月には中味汁を2人で料理して食べるようになってからもう何年になるだろうか。アブチラガマで知り合った最初の友人です。沖縄の暖かい気候と人柄が大好きで沖縄料理には、目がない。三線も習っている。今年は10年ぶりの民謡紅白歌合戦があるので、中味汁をいただいたらホテルでゆっくりテレビを見たいと言い帰って行った。今では私の手料理を食べてくれる唯一の友人です。彼女から、沖縄の歴史や情報・民謡、あるいは沖縄の人々が忘れかけている沖縄の良さを知ることが多い。また、3日遅れの琉球新報の愛読者でもあり、時々彼女の方から新聞記事を送って来ることもあります。そんな彼女の沖縄の旅の最終日は必ず、魂魄の塔へのお参りです。初めて、アブチラガマに入った時から同じ日本人として知らないといけないと沖縄に足を運ぶようになったそうです。
 また、車中泊の女子大生をわが家に泊めたこともあります。沖縄の祖先崇拝に興味を持ち、卒論を仕上げるため、何泊もした子が、今では社会人です。1月の末、再びわが家に来てくれました。彼女との再会を心待ちにする半面、親心で不安にも。2泊3日の沖縄の旅で、彼女自ら、アブチラガマの慰霊碑にお参りしてくれたことに心から感謝し、掛け替えのない友人(イチャリバチョーデー)たちに沖縄から幸せを願わずにはいられません。
(當山菊子、南部観光総合案内センター嘱託職員)