コラム「南風」 新年度に思う


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 先日、私が委員の一人として参画した「沖縄県労働環境実態調査」が公表されました。今回の調査は、沖縄の労働環境の実態を産業別に明らかにした点に大きな特徴があります。県のホームページに掲載されていますので、ぜひ多くの方にじっくり読んでいただきたいと思います。

 この調査の中で、約6割もの企業が採用時に労働条件通知書を交付していないと回答しました。通知書の交付は法律に基づく義務であり、「雇用の入り口」でのトラブル防止に大きく役立つものです。
 新年度を迎え、新たに従業員を雇われた事業主も多いと思います。通知書を交付していない事業主においては速やかに交付するとともに、従業員の皆さんも通知書を受け取っているか再度、確認をお願いします。
 さて、今年度は、本島中部地域での大型商業施設の開業もあり、雇用をめぐる状況が大きく変化する年になりそうです。人材の獲得や定着に向け、事業主の努力や工夫が試されるのではないかと思います。
 こうした中、沖縄労働局は先般、県・経営者協会・連合沖縄とともに「沖縄の雇用・労働環境の改善に向けた共同宣言」を行い、4者が認識を共有して取組を行う決意を表明しました。
 このような宣言は全国でも初めてであり、雇用情勢の最も厳しい沖縄で宣言を出せたことを意義深く感じます。今後、各企業において労働環境や生産性の向上に向けた労使間の対話が進むことを期待しています。
 加えて先週、沖縄市と「雇用対策協定」を締結し、今年度から沖縄市と労働局が一体となり沖縄市の雇用対策を進めていくこととしました。既に協定を締結した宮古島市と同様、着実な成果を出したいと思います。
 今年度も、県民・地域・産業のニーズに根ざした、きめ細かな雇用対策を心がけていきたいと思います。
(國代尚章、沖縄労働局職業安定部長)